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イケないキミに白い林檎を
第22章 Reminiscence
「あれ、どうしたの?……やっぱりダメだった?」
嘘だ……。
ソラ先輩が人殺しだったなんて……
何かの間違いだ。
心の奥底から湧き上がってくる最高潮の悲しみ。
心を槍で突かれたかのように痛くて、抉られたみたいに苦しい。
「いつものように嘘だって言ってください……!うそ…だって…っ…」
優しくて温かい人なのに……。
なんで……。
ただただ信じられなかった。
寧ろ信じたくない気持ちでいっぱいだった。
「こんな罪を持った人間を受け止められるはずがないよね」
だけど
事実がどうであれ、私は……――
震える手をゆっくりと伸ばして俯いているソラ先輩を包み込んだ。
これが言葉の詰まった私の出した答え。
怖い、すごく怖いけど……
今まで愛してくれたこの人が、私の大好きな人に変わりはない。
汚れた私をあなたが受け止めてくれたように、私も……
「うっ…、受け止めて…見せますっ…。血で染まっていても全部受け止めて見せますからっ……!」
何か理由があったんだろうし、どんな過去があろうと受け止めてあげたい。
私だけはこの人の味方でいるんだ。
ずっと、これからも傍にいたいから……
じわじわと溢れて止まらない涙でソラ先輩の服を濡らす。
「ありがとう乙羽さん……。でもそんなに泣かないで。まさか俺が直接手を掛けたって思ってる?」