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イケないキミに白い林檎を
第22章 Reminiscence
中学三年生の夏休み前。
会う度に燈也さんの格好に異常を感じるようになる。
制服と鞄にはマジックペンでの落書き、ハサミで入れた亀裂。頬と腕には青あざができていた。
「燈也、その怪我どうしたの?」
「あはは、今日は学校で思いっきり転んでさー。制服と鞄は校庭の薔薇に引っかかった」
「なんだそれ。どんな棘がついた薔薇だよ」
本当は入学してからいじめられていたのに、燈也さんは誰にも言わずにずっと黙っていた。
でもある日。耐えきれなくなった燈也さんは親友のソラ先輩に告白する。
「……あのさ。実は僕、いじめられてるんだ」
「大丈夫?きっと、くだらないことしてるって気付いてそのうち飽きるよ」
「うん……。そうだね……」
いじめを経験したことがなかったソラ先輩は、それがどんなものなのか想像ができなくて。
燈也さんの心の痛みが、どんなに深くて辛いものなのか分かってあげることもできず。
頼られていたのに、自分のことばかりで何もしてあげられなかった。