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イケないキミに白い林檎を
第22章 Reminiscence
「へえ、乙羽さんは今すぐしたいんだ?」
「ちっ、違います!だって、いきなりこんなされたら勘違いしちゃいますから」
「うーん。綺麗に縛るのって難しいな……」
ムキになって話している間、髪の毛が一つ結びで緩く縛られていた。
左側の耳下に布地を感じて、触れながら目を向けるとあのピンク色のシュシュがあった。
欲しがっていたくせに私が意地を張って、素直に受け取れなかった物。
「このシュシュを付けてる乙羽さんが見たいからもらって。言っておくけど、これは甘やかしてるんじゃないからな」
私が子供扱いしないでって言ったからかな。
でも、すごく嬉しい……。
「ありがとうございます。欲しかったですし、大切に使わせてもらいます」
今度こそ素直になって受け取ると、ソラ先輩も喜んでくれた。
燈也さん、あなたの親友は変わってるけど今も優しい人ですよ。
中途半端に締められたカーテンの隙間から月を見て、天国にいる彼に伝えるように心の内で呟いた。
美味しかった晩御飯を食べ終えた後、ソファに座ってソラ先輩にくっつく。
そして、ふと思ったことを聞いてみる。
「ところで今日は何をしていたんですか?」