この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケないキミに白い林檎を
第23章 溺れた小悪魔と禁断の夜
「乙羽さん」
――――!
名前を呼ばれて心臓が飛び出そうなほどハッとして後ろを向く。
「ハサミは見つかった?左側の方に入ってるから」
声を耳にして今に引き戻されて、ほんの少しだけ気持ちが落ち着く。
こっちに近付いてくる足音を聞き、すぐさま元通りに閉めて左の引き出しからハサミを取り出した。
開けたことがバレずに済み、傍に来たソラ先輩に作り笑顔を向ける。
「あっ…、いえ、はい。ありましたので問題ないです。髪の毛、絡まっちゃって切りたかったんですよね」
ベッドに腰を掛けて、ゴミ箱を下に置いて絡まっていた髪にハサミを入れる。
チョキっと音が小さくして、切れた髪の毛がサラサラと落ちていく。
忘れられないのかな……