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イケないキミに白い林檎を
第25章 純愛青春は淫らな戯れへ
「好きだよ」
「じゃあ、記憶を失う前の私は……」
「……愛してる」
今まで耳にした好意の中で、一番に愛が込められているように感じた。
心にズキッと鈍い痛みが走って胸が苦しくなる。
他の人を好きだと言っているわけではないのに。
自分で自分を嫉妬する不可解なこの痛みは何なんだろう。
過去の私の代わりに、今の私が愛されているか……。
恋人としてのルールを犯そうとしても捨てられなかった訳に納得してしまう。
記憶をなくして人格は変わっていたとしても、この体だけは一緒だからか。
「とにかく、この話はここまで。俺がキミを想っていることに変わりはないんだから」
「分かりました。今の私をもっと好きになってもらえるように頑張ります」
過去の記憶を取り戻せばソラ先輩に私の全てを愛してもらえる。
そうすれば、きっと私のことを乙羽ではなく“風子”と呼んでくれるようになるはず。
どうしたら記憶が戻るのか分からないけど、取り戻す努力をしようと決意した。