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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「まぁ、過去なんて気にすんな。どうせ昔のことは忘れていくものなんだからよ」
「……颯太も記憶をなくす前の私の方がいいの?」
「いや、オレは今のお前の方が断然好きだ」
ニヤリと目を細めて笑った颯太は私たちの前から去って行く。
整った顔立ちで向けてくる顔に嫌な気はしなかった。
髪型だけでなく笑い方まで以前より変わった気がする。
邪な気持ちがなくて、吹っ切れたように見えた。
付き合っていた頃の怠惰さはなく、どんどん変わっていく颯太の姿に少し寂しさを感じた。
「元カレさん、更生していい男になってるじゃん。しかも帰り際に告白とはまだ風子ちゃんのこと好きなのね」
「いやいや。そういう意味の好きじゃないと思うから」
「あれは狙ってる目だからね!?」
「ううん。もう諦めてるよ」
「はぁ……。過去の風子ちゃんが好きな彼氏と今の風子ちゃんが好きな元カレかー。
今の風子ちゃんが幸せになれる相手はどっちなんだろうね」