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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「いや……。でも、また俺の前から突然いなくなってしまうよりはいいと思ってる」
少し黙り込んだ後にそう答えて私の頬に触れたソラ先輩はやはり寂しそうな顔をしていた。
「過去の私がいなくなってショックだったんですか?」
「心の支えだった人が急にいなくなるんだから当たり前だよ」
そこまで言われると記憶を失う前はどんな関係だったのかもっと知りたくなる。
過去の私が支えていたということは仲が良かったんだろう。
友達、今のように先輩後輩の関係、……それとも恋人だったのか考えただけでドキドキする。
でも今の私たちの関係は過去より絶対に進んでいるはず。
けれど、こうして不完全なのはきっとソラ先輩の時間が止まったままだから。
私が止めてしまったせいで――――