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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「過去の私の方が好きってことは、記憶を取り戻した私なら愛せるんですよね?過去と今の区別をつける必要もないと思いますし」
「そうなるけど……」
「一緒に前に踏み出しませんか」
「今まで隠してきた苦労を水の泡にするつもり?
乙羽さんの親に話すなって止められてる俺の立場にもなって欲しいものだね」
私が寝込んでいた時にこれをお母さんと話していたんだろうか。
過去の苗字が違うことを考えると複雑な家庭事情があったから口止めしているに違いない。
でも今は自分の生い立ちよりもソラ先輩との思い出を知る方が先だ。
「ごめんなさい。親には私から言います。それに過去がつらくて悲しいものだったとしても受け止めるつもりです」