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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「好きだよ」
「いっ、いきなりどうしたんですか!?」
「ここは俺が乙羽さんにそう言った場所。……って言われても思い出せないなら信じられないよな」
そう言って寂しそうに笑ったソラ先輩を見て視界がぼやけてくる。
勇気を出して伝えてくれたのに、私が記憶を失ったせいで忘れ去られたも同然になってしまった。
よく考えると私にとっては思い出の場所を教えてもらうのは楽しい事だけど、ソラ先輩にとってはつらいことなのではないだろうか。
「ごめんなさいっ……。ここまで来ても……何一つ思い出せなくてごめんなさい」
「気にすることないよ。もう随分前のことだし、今はこうして一緒にいれるんだからそれで十分だ」
「記憶喪失になる前、私たちは付き合っていたんですか?今なら教えてくれますよね……?」