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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「…………」
「その伝えたかった大切なことは……、付き合う心の準備がやっとできたよ。お待たせ、って言いたかったんじゃなかったのかなって思うんです……」
「うん。記憶をなくす前日にそれを言いたそうにしていたから、謝りたかったことはそれなのかなって思ってたよ」
後悔、悲しみ、もどかしさ。
色んな思いを我慢しきれなくなってソラ先輩に胸に飛び込むと、早く泣き止むように抱き締めて頭を撫でてくれた。
「なんでずっと黙ってたんですか。記憶をなくす前の私がソラ先輩のことを好きだったって言ってくれれば、今の私だって理解しようとしたはずです」
胸元で泣きじゃくりながら爪を立ててシャツを掴む私に、ソラ先輩は何も言わず慰めてからゆっくりと口を開いた。