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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「いや、思い出せないのなら呼んでもいいかなって思って」
私の記憶が戻らないように名前で呼ばずにいたんだ……。
記憶を失う前にやり取りしていたメールでも名前で呼んでいてくれたみたいだし。
信号が青になって横断歩道を渡る時、手を繋いだ親子が通り過ぎて行った方に視線を逸らした。
どうしよう。
額に汗が浮かぶほど顔が熱いし、照れ臭くてソラ先輩を直視できない。
好きな人に名前を呼んでもらえることがここまで破壊力があったとは想定外だ。
何も話さないまま二人でしばらく歩いていると、どうしたのかとソラ先輩に顔を覗かれる。
「ふえ……、あっ…、えっと……」
「大丈夫?顔が赤いよ、風子」