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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
「あいつは乙羽さんに触れていたのに、どうして俺は触ってダメなの?」
自分でもその理由が分からないから困っている。
「おかしいよ……。普通は逆じゃないの……?」
私もそう思う。
この世界で一番触れたいと思うのは恋人だ。
それなのに拒むことしかできなくて胸が苦しい。
もう一度確かめるようにソラ先輩が私に手を伸ばす。
だけど手を取るように何度求められても、フラッシュバックした時の怖さが蘇ってしまう。
「これ以上近づかないで!触らないでください!」
「――――そこのキミ!やめなさい」
私が声を上げると近くにいた警察官の男性が眉を吊り上げてこっちへやって来た。
不審者だと思ったようでソラ先輩の腕を掴んで私から引き離す。
「待ってください。俺は彼女の恋人です」
「最近、そう言う嘘を付いて痴漢をする輩が多いんだ。詳しい話を聞かせてもらうから交番まで来てもらおうか」