この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
授業が終わり、秋と手を繋いで帰る。
人に触れる練習と言われて手を握られたけど、秋の気持ちを知ったからなのか意識してしまう。
恋愛感情は一切なかったはずなのに、少しだけ心が揺さぶられて別の未来をぼんやりと思い浮べる自分がいた。
「風子は明日はどの授業まで受けるんですか?良かったら帰りが同じ日は一緒に帰りません?」
「えっと、まだそれは……」
「――――オイ、なにやってんだよ」
「颯太……!?」
大学から駅へ向かって歩いていると会社帰りと見られる颯太に遭遇した。
「こいつの彼氏の従兄弟だ。……悪いがこいつ用事があるから貸してくれねえ?」
秋が私に誰なのか聞こうとする前に颯太は自ら説明した。
記憶をなくす前のことを聞き出すために会って以来、連絡を取っていなかったから何の用事があるのか分からない。
でも何を話したいのかなんとなく分かった。