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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ

「うん……」

今更私の心境を気にしてくれる元カレ。
記憶を失う前のことを教えてもらったと話すと、平然として相槌を打っていた。

フラッシュバックしてから誰にも触れなくてしまったことを言っても表情一つ変えない。


「触ることができないせいでソラ先輩に嫌われそうで怖いの」


「長年片思いしてたんだから、そう簡単に嫌うわけねえだろ。塑羅緒は風子のことしか考えてねえ」

「私のことだけ……」

秋に慰めてもらって浮ついていたけど、ソラ先輩と一緒に過ごしてきたことを思い出して悩んでいた時に巻き戻される。


「ねえ、颯太。動かないでじっとしてて」

腕に触れようと手を伸ばす。
でも後一歩のところで怖くなってピタリと止まる。

「なんだよ。社内で働いてたんだから汚くねえよ」

「やっぱり颯太もソラ先輩と同じく触れないみたい。さっきの大学の友達なら触れることができたんだけど……」

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