この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
それは困る。また秋に触れていたと知られたら余計に傷付けてしまうような気がした。
口止め料として颯太の財布を持って仕方なく弁当を買いに行く。
にこやかに迎えてくれたおばちゃんに唐揚げ弁当を注文してお金を払う。
レジ横の台に置かれた弁当が入った袋を持って店を出て颯太のところに戻った。
「はい。唐揚げ弁当でいいんでしょ」
「買えたじゃねえか。やればできるな」
「お弁当を受け取る時に手渡しをされなかったから」
「そこの弁当屋のおばちゃんはお釣りを渡す時、必ず手を添えるんだ。触られてんだろ」
「あ……」
気にしていなかったけど、お釣りを手のひらにのせられる時におばちゃんに触られていた。
嫌なことを思い出すこともなく、寝不足で眠いだけで体調は悪くなっていない。
フラッシュバックする前と同じで何ともない。
両親とソラ先輩に触れなかったから他の人もダメだと思って避けていた。
試していなかったから分からなかったけど、秋以外も触れられる人がいる。
そして、やっとその条件に気付いた。