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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
「もしかして私は記憶をなくす前のことを知っている人を無意識に避けているのかな………」
「おまえは一体なにが怖いんだ?」
その質問を聞いてハッとする。
「なにがって……。叩かれたのがトラウマで他人の手が怖くて……」
「オレは風子に暴力を振るったことはなかったと思うし、塑羅緒もそんなことするやつじゃねえだろ。それとも今もおまえのことを叩く奴が他にいるのか」
「今はそんな人は誰もいないし、颯太もソラ先輩も叩いたりしないって分かってる。けど……」
怖くて踏み出せない。
またフラッシュバックして傷ついた時の恐怖が蘇ると思うと、体が他人に触れるとこを拒絶する。
「分かっていても治せないってか。それなら、おまえらは別れた方が幸せなんじゃねえの?」