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イケないキミに白い林檎を
第29章 in flore
「大丈夫です。秋の気持ちだけ受け取っておきます」
この用事は秋には全く関係ないこと。
行きたいと迫られたけど何とか断り、授業を終えてから一人でその用事を済ましに行く。
それはサイズ直しに出していた指輪を受け取りに行くことだった。
お店に行き、指輪を返却されてやっと右手の薬指にピタリとはめられる。
いつまでつけていることができるのか分からないこの指輪が光に反射されて小さく輝く。
指輪を外して全体を見ていると内側に刻印が入っているのに気付いた。
お互いの名前の頭文字。
そして――――
in flore
見慣れない単語の意味が分からなくて眉間にしわを寄せて首を傾げる。
愛に関連する言葉には見えない。
ソラ先輩は何を思ってペアリングにこの文字を刻んだのだろう。
もらった時に気付いて理由を聞くべきだった。