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イケないキミに白い林檎を
第29章 in flore
「うちで休もうか。バッグを掴むことはできる?」
頷いてからソラ先輩の背負っているショルダーバッグをぎゅっと掴んで後ろを歩いた。
何も話さないままマンションに着いて、横になるようにベッドへ誘導される。
そこでしばらく休ませてもらうと息苦しさと体の震えが消えて楽になった。
だけど鼓動はドクドクドクと速いまま……。
話し合わないとこれは治まらないと思う。
ベッドから起き上がるとソラ先輩は私の傍にカップを置いてくれた。
「温かいミルクティーだよ。これを飲んで少しでも気持ちを落ち着かせてね」
「ありがとうございます……」
ほんのりと温かさが伝わるカップを両手で包んでミルクティーを少しだけ口にする。
私のために作ってくれたのか、いつも飲んでいる市販のミルクティーより甘さが控えめだった。