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イケないキミに白い林檎を
第29章 in flore

「でもね、俺の幸せは乙羽さんと一緒にいることなんだ。告白した時から傷付く覚悟は決めていたから絶対に手放したくない」

熱でもあるのかと思った。
いや、風邪を引いているから熱はあるんだと思う。

顔を上げてから涙を拭って見てみると、弱っているにも関わらず真剣な面持ちで私と向き合ってくれているソラ先輩がいた。


「今の私はどうやっても過去の私に戻れませんよ……」


「付き合ってから楽しいことや苦しいことを一緒に過ごしてきたのは目の前にいる乙羽さんだよ。それに初めて告白した場所に連れて行った時、乙羽さんがありがとうって言ってくれたことで俺の中で過去と今のキミがやっと繋がったんだ」

「っ……。うっ……」


「もう乙羽さんは代わりなんかじゃない。俺の最愛の人だよ」

「うっ…、ううっ……っ」

胸が張り裂けそうで愛の告白を泣きながら聞くことしかできなかった。

目を合わせて笑顔で受け取りたいのに溢れてくる涙が邪魔をする。


「だから俺は一番いい選択肢は選ばないって決めた。でも、乙羽さんの幸せを考えるとこれはエゴになるね」


「――――私の幸せを勝手に決めないでください……!」

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