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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花
「いや……、なんでもない……」
ブラウスのボタンを留めてから名残惜しそうに私から手を離す。
私は彼を悲しませるようなことをしてしまったんだろうか。
なんだかこちらも複雑な気持ちになってしまう。
「そろそろ家に帰るかい?自分の部屋の方が落ち着くだろ」
家に帰るならこの人と一時的に離れると言うこと。
彼氏だからまたすぐに会えるはず。
だけど――――
「ここにいたい。あなたといる方がすごく心が落ち着くから……」
「乙羽さん……」
「さっきのように後ろから抱き締めてくれませんか」
我儘を言ってからベッドで横になると強い眠気がやってきた。
背後から優しく抱き締められた後、安心してすぐに眠ってしまった。