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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花

どのくらいの間、眠っていたんだろう。

温かくて、心地良くてずっと寝ていたい気分だった。

体調が悪かったような気がするけど、目が覚めた時には何事もなかったように体が軽かった。

被っている布団からは大好きな匂いがする。

ゆっくりと寝返りを打つと誰かが近付いてきた。


「ソラ…せん…ぱい……」


起きてから一番最初に目に入った人が大好きな人で寝惚けたまま喜ぶ。

そんな私を見てソラ先輩は微笑み返すけど、なぜだか憂わしげに見えた。

「良かった……。思い出してくれたんだ」

「思い出す……?あ、風邪は良くなりましたか?」


「もう大丈夫。乙羽さんの看病のおかげで治ったよ」

「安心しました。元気になって良かったです」

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