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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花

髪の毛がぐしゃぐしゃになっているまま写真を撮られて私は飛び起きた。

「一緒に過ごした時間を残したいんだ……。今後、乙羽さんが記憶を失っても思い出してもらえるきっかけになるように写真を撮りたいなって思って」


思い返せば中学卒業の時に撮ったプリクラを見つけたことがきっかけで、長い間好きでいてもらえたことを知れた。

そして、あのプリクラを撮っていなかったらソラ先輩の本当の気持ちを知ることができないまま付き合っていたんだろう。

今の私だって愛されていなかったかもしれない。

大切に残してもらえていて本当に良かったと思う。


「前みたいに隠さないでくださいね」


「今度は隠さないよ。何度でも乙羽さんは俺の女だって分からせる」


「はい。私も何度でもソラ先輩を好きになってみせます」


何度でも好きになる自信がある。

私の心と体を満たせるのはこの人しかいないから。


ベッドに上がってきたソラ先輩は座っていた私を後から抱き寄せ、今までで一番優しい声で囁いた。



「つらいことを忘れてしまうくらい、これから二人でたくさん幸せな思い出を作ろう――――」


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