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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花
手を伸ばして少しずつ距離を縮めていき、ソラ先輩の指に触れる。
一本、二本と触れる幅を増やしていく。
手を重ねるところまで行こうとした時、過去に傷付けられた記憶が脳内に映し出されて怖くなり手が震えてきた。
また何も変わっていない……。
なかなか前に進まない自分に悔しくて涙が出そうになった時――――
「後ろからは大丈夫なんだから、見なければいいんじゃないかな」
慰めるようにソラ先輩が言ってくれて、目を閉じてみると不思議と楽になれて触れ続けることができた。
本当に大丈夫なのか手探りでどんどん触れていく。
何度触れても怖くなくて、ソラ先輩に抱きついて喜びを噛み締めた。
「……これなら何でも大丈夫そうです。このまま慣らしていけば克服できそうな気がします」