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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花

「それならたくさん感じて……」

胸に耳を当てるとソラ先輩の鼓動が聞こえる。
守るように包まれる背中、存在を認めてくれるように撫でられる頭。


抱かれている間、幼い子供に戻った気分になった。

これが小さい頃に親からされたかったことだったんだと思う。

欲しかったものが大人になって漸く満たされていく、そんな感じがした。


「ここまですることができたならキスもしたいです……」


「あまり無理はしない方がいいよ。目を開けたら、何が起きるか分からないんだし」

「意地悪を言わないでください。ソラ先輩はキスしたくないんですか?」



「乙羽さんのことを心配して言ってるんだ。でも、……俺もしたいに決まってるよ」


小さく本音を呟かれた後、触れ続けていると蕩けてしまうような柔らかいものが唇に軽く当たった。

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