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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花
前を向くとその声の人物が私とソラ先輩を鋭い目付きで見て立っていた。
「なっ、何のことですか」
「とぼけるつもり!?前に秋と抱き合っていたくせに」
「…………」
血の気が引いて胸がズキッと傷んだ。
いつ見られていたんだろう。
体を抱き締められたことだけはソラ先輩に知られたくなかった。
事実でもあるし、違うと言っても火に油を注ぐだけと思った私は黙り込んで視線を落とす。
「彼女から他の男に抱きついたりしませんよ」
私の代わりに丁重に反論してくれるソラ先輩。
波風を立てないように平静を保っているように見えた。
「秋から聞いたもの。彼氏には触ることができないから秋に触れて練習していたって」