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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花
紅色に染まっているつぼみが白い花を咲かせる。
それは白く染めあげたようにも見えた。
林檎の花を見てから自分の右手の薬指に視線を移す。
付き合って一年目の時にプレゼントしてもらったペアリングは今でもお互いに付けている。
一年目の頃よりは輝きが鈍くなっていて細かい傷も付いたけど、一緒に過ごした日々がそれだけ刻まれた証だろう。
そして内側に書かれている刻印の意味をふと思い出した。
「枯れることのない花を咲かそう。私たちの咲かそうとしている花はこう言う花を想像していました」
「俺もそう思ってた。……林檎の花は乙羽さんに捧げる花にぴったりだな」
「どういうことですか?まさか、また小悪魔とか言い出すんじゃないでしょうね」