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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花
自分が愛されたいからするんじゃない。
好きな人の笑顔が見たいから自分がしたい。
大人になる前の私は愛されたかっただけでこの気持ちを知らなかっただろう。
そして、誰かを心から愛したいと思えるようになることも……。
「ねえ、我儘を言ってもいい?……もう一つプレゼントが欲しいんだけど」
「今は財布が潤っているので奮発しますよ。何が欲しいんですか?」
「そんなこと言って何が欲しいか分かってるくせに。……もしかして言わせたいんだな?」
「っ……。言われないと分からないです」
見透かされて気恥ずかしくなりそっぽを向くと、ソラ先輩はふっ、と小さく笑ってから私を抱き寄せて耳元で囁いた。
「俺が欲しいのは乙羽さんだよ」