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イケないキミに白い林檎を
第5章 狂乱
ソラ先輩は名残惜しいような顔をして強く握っていた私の手首を離した。
「やめないで!続けてくだ――」
前髪をそっと掻き分けられると、おでこに優しいキスが降ってきた。
無理をするなと言っているようで私を落ち着かせようとしている。
それを察して黙ると、ソラ先輩は私から少し離れて座った。
「ひとりぼっちになりたくないから、誰かと一緒にいたい」
「…………!」
「乙羽さん、そう思ってるでしょ?」
「なんで……」
また見透かされていた。
私が思っていたことはソラ先輩の言うとおり。
追い出されてからひとりになりたくなかった。
傷付いた自分を誰かに受け止めてもらいたかった。
つらくて、つらくて、押しつぶされそうだったから……。
「安心していいよ。体を売らなくても一緒にいてやるから」
「だめです。私がソラ先輩の時間を奪っているんだから対価を払うのは当然です」