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イケないキミに白い林檎を
第5章 狂乱
「いらないよ。何も払わなくていい。自分を安売りしちゃダメだ」
「でもっ……」
「苦しい時は、誰かに傍にいて欲しいものだろ」
押し倒した時の顔が見間違いだったかのように、またやんわりと微笑む。
まるで別人だった。
でもそんな彼に甘えてしまう。
「……はい。今日だけでいいので……、隣にいてもらいたいです……」
「俺を選んでくれて嬉しいよ。……なんでも話して」
私が抱いて欲しいと言ったからお持ち帰りしたわけではなく、最初から私がひとりになりたくないことを分かっていて連れて来てくれたようだった。
「えっと……、どうして私を駅の待合室で待ってたんですか」
「何か起きるかなって思ったから着いて行った」
「未来予知ができるとか言わないでくださいよ……?」