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第5章 井上 翔太
ヘヴィーな告白に、空腹は遠退きつつあったのだけど。

やっぱり身体は正直なモンで。

ピザの匂いを嗅いだ途端、俺の腹のムシは盛大に騒ぎ始めた。

小鳥遊さんはクスッと笑って、

「お腹空いたね、食べよ?」

とピザの箱を開けた。

目尻に涙を溜めたままの泣き笑いが、メチャメチャ切なくて、可愛くて、思わず抱き締めたくなる。

でも、我慢。

今抱き締めたら、歯止めが効かなくなる。
うん、きっとなる。

ブンブン、と邪念を振り払うようにかぶりを振り、俺もピザを食べた。

食べながら、さっきの話を反芻するうちに、なんかめちゃくちゃ腹が立ってきた。
こんな人畜無害な顔しやがって。
もっと、見た目に遊んでそうっていうか、ホストみたいな外見だったら、腑に落ちたのかな。

いや、そんなチャラいヤツ、小鳥遊さんが好きにならないかもだけど。
いや、そもそも小鳥遊さんの好みのタイプなんか聞いたことないけど。

でも、写真の男は真面目そうで、優しそうで、結婚したら大事にしてくれそうな。
そんな男だから、小鳥遊さんも結婚を夢見るくらい、尽くしてしまったんだろう。
自分が好きになった相手の、1番が自分じゃない、ってやっぱ、切ないよなぁ。
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