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第5章 井上 翔太
「それに、別のパートナーがいてたら、娘の誕生日くらいで元旦那に逢いにこんと思うの。今のパートナーに申し訳ないって、思うのがフツーの、感覚ちゃうかな。娘の誕生日やって新しいお父さんと一緒に祝うと思うし。百歩譲って娘が本当のお父さんに会いたい、ってゴネたんやとしたって、身重の身でのこのこ会いにはけえへんでしょう。子供だけ行かすハズ。」

確かに。
ぐうの音も出ないとはこのことだ。

てことは、やっぱり。

小鳥遊さんは、騙されてた、という結論に、至るワケか。

「当日はちょっとパニックになって、思わず撮ったこの写真見ながら、どうやって話ししようとか、色々考えてアタマぐちゃぐちゃんなって。でも。日が経って少し落ち着いて、またイロイロ考えて。
別れてなかった、って分かった以上、このまま黙って関係続けるのなんか無理やし。
じゃあ私が別れな、って思ったら、やっぱり悲しいし。
何より一番は、なんで気付かんかったんやろう、ってことやった。
30超えて、具体的に話がでたわけじゃないけど、でも私は結婚も意識してて。彼は、一度失敗してるから直ぐに結婚する気はない、って言ってはいたけど、どっかで、先々私が精神的にも経済的にも支えられたらいいなぁ、とか、勝手に思ってたワケ。
せやのに、見かけた彼はメチャメチャ幸せそうな、いいお父さん、って感じで。なんや、最初から私の居場所なんかなかったんや、ぜーんぶ私の一人相撲やったんや、ってことに気づいたら、虚しいっていうか、惨めっていうか…
もう、どうしたらいいんかわからんなってきて。
で、昨日、彼にこの写真と、離婚してなかったんやね、さようならって一言SNSメッセージ送ってん。既読はついてるけど、返事はない。電話もない。たぶん、彼にしたら単なるゲームオーバーなんやろうな。」

なんだかなぁ〜。

小鳥遊さんの推察は至極最もで、反論の余地はないのだけど。
気持ちの整理が追いつかない。

もやもやが晴れないまま、ポリポリと頬をかいたとき、タイミングがいいのか悪いのか、ピザが届いた。
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