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第1章 井上 未玖
「なんか意外…ねぇ、お父さんておじいちゃんとおばあちゃんに挨拶に来るときってどんなだった?」

お母さんは後片付けを終え、オイルサーディンの缶詰を開けて耐熱容器に移し、薬味を乗せてグリルに置いた。

「お父さんは、将来を見据えた交際ってコトで、早く両親に紹介しろって煩かったけど。私が、何だか両親に紹介しちゃうと、外堀埋められるっていうか…早く結婚しろってなるんじゃないかって思っちゃって、のらりくらり逃げてたなぁ。私は仕事続けたかったけど、会ったコトないお父さんの両親がさ、専業主婦になって欲しい人たちだったら面倒臭いじゃない。でも、4年くらい付き合って、30目前で、仕事か結婚か、て悩んで。収入とか、心配な面もあったけど、私を大事にしてくれる人だろうな、って思って。心を決めた頃かな。妊娠が判って、それからは早かったわ。」

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