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第7章 北川 樹
病院を出て、腹も減ったけど作んのも面倒だったから、途中で牛丼屋に寄って済ませた。

家に帰って風呂を溜めて浸かる。
ぼんやりと、ヒロキに母乳をやってた遙の姿を思い出した。
明らかにボリュームアップした胸に吸い付くヒロキ、それを見守る優しい顔は、母!って感じで、遙じゃないみたいだった。
オンナは子供産むと変わる…ってこういうことか…
だけど、帰り際にキスをした遙は前とどこも変わってなくて。

そりゃそうだ。
だって1日しか経ってねぇんだもんな。

なのに、あんな別人みたいな顔で笑うようになった…

嬉しいんだけど、寂しいような、戸惑いもある。大変な思いして、子供産むんだもんな…
俺はただ、ぼんやり突っ立ってただけだし。

妊娠期間中も、軽いとはいえ悪阻があったり、食えねぇもんがあったり。後期は腹のせいで動きにくかったり…
今日だって、産む時に骨盤が開くらしく、それが戻ってないから今足腰ガクガクでさぁ〜、トイレ行くのにそこまで歩くの大変なんだよ〜と室内のトイレを指差して笑ってて。
いやソレ笑いごとじゃねぇじゃん…て言ったらもうね、歩くとこお婆さんみたいだから流石にそれは見せらんないわ〜とまた笑ってた。
大変だと思うんだけど、笑って済ませてしまえるあたりが既に母の度量なんだろうか…
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