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第1章 井上 未玖

落ち着いた佇まいのマンション。
入ると細い廊下があって、突き当たりと、左右にドア。その手前に引戸がひとつ。
キョロキョロしてると、そんな珍しいモンでもないでしょ、と苦笑される。
いえ、元カレは実家暮らしで、友達にも独り暮らししてるコとか居なかったから、単身者用のマンションて、初めてです…

玄関から見て、左手のドアを開けた部屋に通される。
そこはLDKで、小ぶりなカウンターキッチンと、小さな冷蔵庫。
カウンターの向こうにTVとローテーブルとソファ。
どうぞ、と言われたのでソファにちんまりと座った。

シンプルな部屋。

壁面に作り付けの書棚があって、ポツポツと雑誌とか、ミニサボテンなんかが飾ってある。

真っ白なスクウェアの植木鉢に収まった観葉植物。

トゲトゲした葉っぱにそっと触ろうとしたら、

「気を付けて、それ痛いよ。」

と言われた。