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第9章 巽 圭吾
「…コタちゃん、いくつだったの?」

「…19歳。人間で言うと、もう90超えてるし、飼い猫の平均寿命もとっくに超えてたし、超高齢、ではあったから、ほんといつ死んでもおかしくない状態だったし、よく頑張った方だとは思うんだよ。…だけど、実際死んじゃうと、やっぱ、ショックでさ…」

「………………」




「ね、大の男が、って思うだろ?」

猫が死んだくらいでさ、と自嘲気味に続けようとした俺の言葉は。
理恵ちゃんの涙を見た途端、喉の奥に引っ込んだ。

「家族が亡くなったのに、辛くないわけないじゃない…」

理恵ちゃんは、そっと人差し指で目尻を拭った。

「火葬とか、したの?」

「…うん。昨日、おかんと行ってきた。お骨は、うちに置いてある。墓に入れるかどうかはまだ決めてなくて…ペット霊園とか、費用もバカになんなくてさ…庭に墓作ってもいいかな、とは思ってるんだけど…」

「うん、いいんじゃない?お線香、あげさせてもらおうかな?今からお邪魔しても、いい?」


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