この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
some more storys
第9章 巽 圭吾
「…たぶん、おかん居るよ?いいの?」
「圭吾くんが嫌じゃなければ…」
「…俺は別に大丈夫、だけど…」
そうして、理恵ちゃんを連れてウチに帰ることになった。
おかんは俺が彼女を連れて来たことに、ちょっと驚いたみたいだけど、ごゆっくり、とリビングに下がっていった。
仏間の仏壇に置かれた、マグカップくらいの骨壷が入った、布の袋。そこで線香をあげ、燻る煙をぼんやり見ながら理恵ちゃんが口を開く。
「コタちゃん、美人さんだったもんね…」
おかんが居ない時は理恵ちゃんをウチに連れて来たりしてたから、理恵ちゃんは何度かコタを見たこともあって。コタは人懐こいから、すぐに理恵ちゃんにも慣れて、額を擦り寄せて甘えてた。
そうやって甘えればオヤツを貰える、って確信してる食い意地の張ったヤツでもあったけど。
流行りのスコティッシュなんちゃらとか、マンチカンとか、そんなお高いネコじゃない。
俺が小学校の頃、拾ってきたネコだ。
ノラではなかったから、たぶん、飼い猫が子供を産んで、里親を探しきれなくて、子猫だけを段ボールに入れて、公園に置いた感じだった。
「圭吾くんが嫌じゃなければ…」
「…俺は別に大丈夫、だけど…」
そうして、理恵ちゃんを連れてウチに帰ることになった。
おかんは俺が彼女を連れて来たことに、ちょっと驚いたみたいだけど、ごゆっくり、とリビングに下がっていった。
仏間の仏壇に置かれた、マグカップくらいの骨壷が入った、布の袋。そこで線香をあげ、燻る煙をぼんやり見ながら理恵ちゃんが口を開く。
「コタちゃん、美人さんだったもんね…」
おかんが居ない時は理恵ちゃんをウチに連れて来たりしてたから、理恵ちゃんは何度かコタを見たこともあって。コタは人懐こいから、すぐに理恵ちゃんにも慣れて、額を擦り寄せて甘えてた。
そうやって甘えればオヤツを貰える、って確信してる食い意地の張ったヤツでもあったけど。
流行りのスコティッシュなんちゃらとか、マンチカンとか、そんなお高いネコじゃない。
俺が小学校の頃、拾ってきたネコだ。
ノラではなかったから、たぶん、飼い猫が子供を産んで、里親を探しきれなくて、子猫だけを段ボールに入れて、公園に置いた感じだった。