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第9章 巽 圭吾
「…たぶん、おかん居るよ?いいの?」

「圭吾くんが嫌じゃなければ…」

「…俺は別に大丈夫、だけど…」

そうして、理恵ちゃんを連れてウチに帰ることになった。

おかんは俺が彼女を連れて来たことに、ちょっと驚いたみたいだけど、ごゆっくり、とリビングに下がっていった。

仏間の仏壇に置かれた、マグカップくらいの骨壷が入った、布の袋。そこで線香をあげ、燻る煙をぼんやり見ながら理恵ちゃんが口を開く。

「コタちゃん、美人さんだったもんね…」

おかんが居ない時は理恵ちゃんをウチに連れて来たりしてたから、理恵ちゃんは何度かコタを見たこともあって。コタは人懐こいから、すぐに理恵ちゃんにも慣れて、額を擦り寄せて甘えてた。
そうやって甘えればオヤツを貰える、って確信してる食い意地の張ったヤツでもあったけど。

流行りのスコティッシュなんちゃらとか、マンチカンとか、そんなお高いネコじゃない。
俺が小学校の頃、拾ってきたネコだ。
ノラではなかったから、たぶん、飼い猫が子供を産んで、里親を探しきれなくて、子猫だけを段ボールに入れて、公園に置いた感じだった。
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