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第10章 萩原 義隆
「いいよ…」

「そんなこと言わないで。」

有無を言わさぬ勢いで、隣に座らせた私の手を取る。

ケースの中からチューブを取り、ハンドクリームよりも少しゆるいクリームを私の手の甲に絞る。

そのまま手の甲から指の股、爪の極まで、指で揉むように優しくマッサージしてくれる。少しザラついた質感のクリームは、揉み込むとともにザラザラした粒がなくなり、手に馴染んでいく。
手のマッサージは…とても気持ちが良かった。
そんな私の思考を読み取ったように、

「気持ちいいでしょう?手にはツボがたくさんあるから、マッサージするといいのよ」

と呟く。
右手が終わると左手も同じようにクリームをつけてマッサージされ、洗面所に連れて行かれて洗い流した。

「これは?」

「古くなった角質を取り除いてるの。スベスベになるのよ。」

…男の手がスベスベになって何か意味があるのだろうか…
とも思ったが、黙ってされるがままになっておいた。
続いて顔につけるような化粧水を手になじませ、最後にハンドクリームをまたマッサージで揉み込んでくれた。

「気持ち良かった、ありがとう。」

「どういたしまして。これからもしてあげるわ。」
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