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第10章 萩原 義隆
繋がった身体を離し、抱き合ったまま横を向く。
ティッシュでお互いの身体を拭き、上掛けの薄いブランケットを剥ぐと、汗ばんだ身体にエアコンの除湿の風が涼しく感じる。

「義隆さん…好き。大好きよ。」

菜摘が私の唇を啄ばむ。そのキスに応えながら、人生の折り返し地点を過ぎて、こんなにも愛しいと思える人と出逢う皮肉を寂しく受け止める。
…せめてあと10歳若ければ。
いや、彼女がこんな私でいいと言ってくれるのだから、そこを喜ばねばいけないのだろうな…

「私も愛してるよ、菜摘…」

昔は言わなかった愛の言葉を、この歳になって臆面もなく吐けるようになるとは、ついぞ思わなかった…

程よく汗の引いた身体に、再び薄いブランケットをかぶり、二人眠りに落ちた。








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