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第10章 萩原 義隆
朝目覚めると、菜摘の笑顔があった。

「おや、起きてたの。」

「さっきね。義隆さんの寝顔が見られる貴重なチャンスだから。」

「オッサンの寝顔見たっていいことなんかないだろ。」

「朝ごはん、何が食べたい?」

「…何でもいいよ。」

「また何でもいいって言う…」

「あぁ、ごめん。パンでもご飯でも、菜摘の食べたいものに合わせるって意味で…」

「じゃあ、チョコレートソースとフルーツとクリームがたっぷり乗ったパンケーキにしよっか♪」

う。想像しただけで胸焼けを起こしそうなメニューだな…

「…朝からそれは…ちょっと…ヘビーじゃないかな…」

「ほら。食べたくないものもあるんでしょ? ウソよ。生クリームもフルーツも買ってないし。そんな豪勢なパンケーキ作れないわ。義隆さんの悪いクセ。何がいい?って聞かれて考えるのが面倒で何でもいいって言っちゃうのよね。」

菜摘がクスッと笑って私の鼻の頭を人差し指でつつく。…昔、桜子に似たようなこと言われたな…私は少しも成長してないということか…
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