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第13章 萩原 隆行
でもどれもイマイチしっくりこないっていうか…俺には無理だ…と落ち込むだけで…

休憩所で、タブレットを置いて、ふー、と溜息をついたら、そこに祥悟さんがいた。

「サプライズの演出考えてるの?」

だからなんでこんな時に目の前にいるの⁉︎

「俺もそういうの苦手だけど親父は得意だよ。親父のプロポーズもかなりだったっておかんに聞いたし。親父に聞いてあげようか?」

……どこの世界にプロポーズの指南を社長にお願いする平社員が居るんだよ…

祥悟さんのお母さん、社長夫人、は、創立記念パーティーで見かけたことがある。スラっと背が高くて、遠目だったけどかなり美人だった。上品でおっとりした感じの、奥様!って感じの人だった気がする…
社長は普段からそんな威張ってる感じでもないけど、奥さんをエスコートして挨拶に回る姿はすごく絵になってた。
そんな社長のプロポーズがどんなサプライズだったのか気にならないワケじゃないけどさ。

「……結構です。」

「俺は、色々考えて、結局纏まらなくて中途半端になっちゃったり、相手の反応がイマイチだったりすることが多くて、結局サプライズすんのやめちゃった。コレはおかんの言葉なんだけど。サプライズってのは、こう言ったら相手がどう出るか、ってのを熟知しておくか、どう出られてもリカバリーできる状態じゃないと失敗すんだって。そこをきちんと抑えて置かないと失敗するらしい。」
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