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第20章 北川 遙
ちゅくちゅくと必死におっぱいに吸い付く大樹を眺めながら、樹さんが、

「なんか、同じ胸なのに赤ん坊抱いてるってだけで微笑ましくなるのはなんでだろうな…エロさとか、感じちゃいけないフィルターがかかった感じ…」

「ナニそれ。」

思わず吹き出す。

「いや、でも。ホント、今母親の顔してるよ、遙。」

「そう?ま、母親ですから?」

「なんだよなー。でも、血なんだよなー。って言うとあんま微笑ましくも感じないんだけど…」

「自分も通ってきた道でしょうが…」

「それはそうなんだろうけどさ…自分の記憶なんかねぇもん。」

私はふと、写真の樹さんを思い出して、笑ってしまった。

「何だよ。」

男の子だから、もちろんいくつか新しいの用意したんだけどね?この子のお下がりも使ったから家の中ではピンクの服とかも着せてたのよね〜と、お母さんが懐かしそうに指差した、アルバムの中の1枚。

「んー? 可愛かったなぁ、って思って。 女の子みたいなピンクのベビー服着た樹さん…」
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