この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
some more storys
第21章 幸村 昌希
「あれ、まだ何か入ってるわ」
箱の隅に納まっていたのは、薄い紫の袱紗に包まれた箱のようなもの。袱紗を開けると、古そうな黄ばんだ紙の箱が出てきた。
紙箱の中身は、群青色の、ベロアの箱。文庫本より大きい、手帳くらいのサイズ。
開けなくてもジュエリーケースだろうな、とは思った。
中に手紙が入っていて。封筒の表には、
『幸村 昌希様 由香様』
と書かれている。これは母さんの字じゃないな…と思って封筒を裏返すと、そこには、深谷 千鶴子 という署名があった。
聞き覚えのない名前だったけど、深谷、と名乗る女性は深谷さんのお母さんくらいしか知らない。
だから、これは深谷さんのお母さんなんだろうな、と思って、封を切り、几帳面な文字で認められた手紙を読んだ。
箱の隅に納まっていたのは、薄い紫の袱紗に包まれた箱のようなもの。袱紗を開けると、古そうな黄ばんだ紙の箱が出てきた。
紙箱の中身は、群青色の、ベロアの箱。文庫本より大きい、手帳くらいのサイズ。
開けなくてもジュエリーケースだろうな、とは思った。
中に手紙が入っていて。封筒の表には、
『幸村 昌希様 由香様』
と書かれている。これは母さんの字じゃないな…と思って封筒を裏返すと、そこには、深谷 千鶴子 という署名があった。
聞き覚えのない名前だったけど、深谷、と名乗る女性は深谷さんのお母さんくらいしか知らない。
だから、これは深谷さんのお母さんなんだろうな、と思って、封を切り、几帳面な文字で認められた手紙を読んだ。