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第22章 白河 桜子
「…それは…おっしゃる通りなんですが…」

言い淀んだ義隆さんに、私が言わなきゃ、と思って。私は意を決して口を開いた。

「…お腹に赤ちゃんがいるの。大学は、卒業できません…」

「桜子⁉︎」

「それは 本当なのか⁉︎」

私は頷いて、クリニックの診断書を出した。
お父さんは頭を振って重い溜息をつく。

「学生の身で…」

「大学辞めて子供産むだなんて!しかも結婚前に妊娠だなんてなんて事‼︎」

お母さんは金切り声で、

「絶対許しません!そんな娘を傷物にした男の子供なんて!今すぐ別れなさい。この家から出て行って!そして二度と顔を見せないで頂戴‼︎ 子供は降ろして、桜子は私たちが決めた相手と結婚させます!」

「お母さん!」

「あなた1人の問題じゃないの!一人娘がそんなだらしのない事じゃ、他所様に顔向け出来ないわ!」

「萩原君と言ったかな。交際自体は認めても良かった。百歩譲って学生結婚も認めてもいい。だがね、物事には順序というものがあるんだよ。子供ができたから仕方なく結婚しますだなんてね、大切な一人娘をそんな風にしか扱えない男を迎える親がいるわけがないだろう!出て行ってくれ!」

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