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第22章 白河 桜子
何だったの…と面食らったけど、嫌な気分ではなくて。男性に、こんな気持ちを抱くのっていつ振りだろう…なんてドキドキしてる自分がいる。
私は既婚者で、子持ちなのよ⁉︎と自分を戒める気持ちと、別に、浮気してるわけじゃない…店員と、お客さんに夫や子供なんて関係ないじゃない…という気持ちが入り乱れる。
いつの間にか、そんな風に私の心の隙間に滑り込むように入り込んできた彼は。ミナミ ケンジ、と名乗った。

いつも作業着を着てたから、サラリーマンではないんだろうな、と思ってたら、仕事は鳶職だと言った。

3時のシフトが終わって、着替えて裏口から外に出たら、裏手の駐車場に、ミナミさんがいて。
驚いて立ち止まる。

「今日、休みなんだ。だから、ココで待ってた。ねぇ、連絡先の交換しない?俺、萩原さんめっちゃタイプなの。」

「…困ります…子供がこれから帰ってくるの。」

「あ、家庭持ち…?…そっか…でも、連絡先くらい良くない? 友達なら別に平気っしょ」

ニッと笑って。携帯を出した。

「…私、携帯持ってないので…」

「そっか。ザンネン。じゃあね!」

ミナミさんは、手を振って離れていく。
お休みで、今まで待っててくれたんだ…
何時までのシフトかもわからないのに…私の連絡先を聞くために…?
ドキドキして、残念に思ってる自分がいることに驚いた。
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