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第2章 高野 正一郎
今この状況で、俺が家を出てトキエと逃げたら、お袋はきっとトキエの親父や親戚を責める。
お前の娘がウチの息子を誑かしたと。
息子を返せ、と筋違いな事を言うやろう。
近所中に、被害者ヅラして話して回る。
それを信じるヤツも信じんヤツも居るやろうけど、トキエの身内は…ここに居るのが嫌にやるやろうな…
親の反対を押し切って嫁に迎えることも、親を見捨てて家を出ることも、結局両方出来ん話や。
俺とトキエは、そういう星の元やった、ちゅうことなんかな…
トキエは、借金がなかったら、と今更言うてもしょうがない、と言うた。
何であんなに達観できる?
俺のこと、結局はそないに好きやなかったんか…
…違う。
親と俺を天秤にかけて、親を選んだだけか…
そして俺も、同じ選択をしようとしとる。
結局、トキエとはこうなる定めやったんや…
そう、自分にいい聞かせるしかなかった…
お前の娘がウチの息子を誑かしたと。
息子を返せ、と筋違いな事を言うやろう。
近所中に、被害者ヅラして話して回る。
それを信じるヤツも信じんヤツも居るやろうけど、トキエの身内は…ここに居るのが嫌にやるやろうな…
親の反対を押し切って嫁に迎えることも、親を見捨てて家を出ることも、結局両方出来ん話や。
俺とトキエは、そういう星の元やった、ちゅうことなんかな…
トキエは、借金がなかったら、と今更言うてもしょうがない、と言うた。
何であんなに達観できる?
俺のこと、結局はそないに好きやなかったんか…
…違う。
親と俺を天秤にかけて、親を選んだだけか…
そして俺も、同じ選択をしようとしとる。
結局、トキエとはこうなる定めやったんや…
そう、自分にいい聞かせるしかなかった…