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第22章 白河 桜子
義隆さんがそんなことしてたなんて、私は全く知らなかった…

「…そんな苦労も分かち合えないほど、私は信用されてなかったの…?」

「そうじゃない!私はただ…いや、よそう…私たちはきっと、自分の思いに凝り固まって、お互いを見ることをして来なかったんだ…君に相手がいるなら、もうやり直すのも無理だろうな…」

「…離婚…」

「それしかないだろう。今更、心を入れ替えると言われても、君を再度信用するには時間が必要だし、私が君の思う理想の夫になるのも難しいだろうしな。だがせめて、あと1年、隆行が小学校を出るまでは頑張らないか?卒業式くらい、出席してやれよ。最後に母親らしい姿みせてあげよう。」

「義隆さんが隆行を育てるの?私が1人で出て行くのが前提みたいな言い方するのね…」

義隆さんは少し目を見開いて、口の端で嗤った。

「子供をほったらかして、男としけこんでた人間の言葉とは思えないな…君1人で隆行を養えるわけがないだろう。君が実家に戻るか、相手の男が隆行を引き取ることに同意してるなら、可能性はなくもないけどな。隆行ももうわけのわからない幼児じゃない。最終的には、どちらと暮らすかはあの子に決めさせよう。だが、隆行が君を選んだとしても、生活の保障がない限りは親権は渡せない。相手の男が承諾して、隆行が君と居たいと、相手の男を父親と呼んでもいいと言うなら、私も会わせてくれ。その上で隆行の父親たりえると思える男なら、親権も渡す。」

「…わかったわ…」

私たちは、別々の道を歩む決意をし、その上で、あと1年は今まで通りの生活を守る約束をした。
義隆さんから出された条件はただ一つ。
隆行の晩ご飯は毎日作ること、それだけだった…
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