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第22章 白河 桜子
私は健次さんとの関係も続け、離婚に向けて話し合ってることも彼に言った。

その年の夏はすごく暑くて、私は夏バテのせいか、食欲もなく、吐き気が酷かった。
今までと違って生理不順までついてきて、きっとストレスのせいね、なんて思ってたけど…もしかして、と妊娠検査薬を使ってみたら、陽性が出て。

卒業まで待てなかった…とクリニックの診断書を義隆さんにだけ見せて事情を話し、離婚届を置いて家を出た。
義隆さんは、わかった、と頷いただけだった…

健次さんと結婚して、お腹の赤ちゃんと新しい家庭を築く…
彼と一緒なら、義隆さんとは違う、きっと暖かい家庭が作れるだろう…そう、思ったのに…

「…え、マジで?」

「えぇ…」

私はクリニックの診断書を見せて、既に義隆さんとも離婚してきた、と伝えた。

「結婚?俺と、桜子が? 冗談だろ?」

「?」

「だって、俺の子だって保証はないじゃん。俺ちゃんと避妊してたし、ダンナとも皆無ってワケじゃないだろうし…てかさ、どっちにしても、離婚より妊娠のが早いんだから、法的にはダンナの子供だからね。俺には認知の責任はないデショ?」

「何言ってるの健次さん…私とだったら、幸せな家庭が作れるってずっと…」

「桜子さぁ…今幾つ?30超えたいいオトナがさぁ…リップサービスのひとつも理解できないとかあり得ないよ?」

信じてきたものが、音を立てて崩れていった気がした…

私は…この人の為に…家庭を捨てたのに…
…ちがう…このヒトはきっと、最初からこういうヒトだったんだ…私が、見抜けなかっただけなんだ…

「結婚する気はないし、離婚も認知も俺にはカンケーないからさ、ダンナともっかい話し合って?」

ふらふらと、健次さんの部屋を出て、歩き出したところで、私の意識が途切れた…

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