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第22章 白河 桜子
私が目覚めたのは、病院のベッドの上だった。看護師さんが、点滴を交換しながら、熱中症ですよ、先生を呼んできますので、このままお待ちくださいね、と言った。
外で倒れて、道を歩いて居た人が救急車を呼んでくれて、搬送されたらしい。
「お名前は…」
「…萩原、桜子です…」
言った後に、旧姓の白河を名乗るべきだったのかしら、とふと思ったけど。もうカルテには萩原と書き込まれた後だった。
「萩原さん、妊娠してたのは、自覚ありました?」
私はこくりと頷いた。
「…搬送された時点で、不正出血が確認されたので、念の為確認しましたが…残念ながら…」
「…赤ちゃん…もう居ないんですか…」
先生は無言で頷いた。
独りに、なった…
健次さんと離れた今、子供を独りで育てる自信なんて、とてもじゃないけどなかった…でも、もう、義隆さんの元にも戻れない…
本当に、本当に独りになってしまったんだ…そう思うと涙が溢れて止まらなかった…
「お気持ち、お察しします。…萩原さん、どなたか迎えに来ていただけるご家族は…」
私はふるふるとかぶりを振った。
先生は、取り乱していると思ったみたいで。
「…この話は、また後にしましょう…今は、もう少し安静に、お休みください…」
そう言って、部屋を出て行った…
外で倒れて、道を歩いて居た人が救急車を呼んでくれて、搬送されたらしい。
「お名前は…」
「…萩原、桜子です…」
言った後に、旧姓の白河を名乗るべきだったのかしら、とふと思ったけど。もうカルテには萩原と書き込まれた後だった。
「萩原さん、妊娠してたのは、自覚ありました?」
私はこくりと頷いた。
「…搬送された時点で、不正出血が確認されたので、念の為確認しましたが…残念ながら…」
「…赤ちゃん…もう居ないんですか…」
先生は無言で頷いた。
独りに、なった…
健次さんと離れた今、子供を独りで育てる自信なんて、とてもじゃないけどなかった…でも、もう、義隆さんの元にも戻れない…
本当に、本当に独りになってしまったんだ…そう思うと涙が溢れて止まらなかった…
「お気持ち、お察しします。…萩原さん、どなたか迎えに来ていただけるご家族は…」
私はふるふるとかぶりを振った。
先生は、取り乱していると思ったみたいで。
「…この話は、また後にしましょう…今は、もう少し安静に、お休みください…」
そう言って、部屋を出て行った…