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第22章 白河 桜子
入院費用を払う手立てもない。もしかしたら扶養からも外れて健康保険すら入ってないかもしれない。悩んだけど、実家に頼るしかない、と思った。
看護師さんに、聞いてからにしよう、と思って携帯を出したら、既に使えなくなってて。あぁ、そうか…この携帯は義隆さんの子回線で携帯代も義隆さんの口座からおちることになってるものね…と、着実に無くなっていく義隆さんとの繋がりを初めて実感した。今まで、どれだけ自分が甘えてきたのかも。
思えば、離婚に向けて話し合ってるという話をした時、健次さんはあんまり嬉しそうでもなかった。
健次さんにとっては、私は御し易い遊び相手でしかなかったんだろう。
「俺ならそんな思いさせないのに。」
「こんな美人の嫁さんだったら毎日だって迫っちゃうよ」
そんな耳障りのいい言葉たちに浮かれて、この人とならもっと幸せになれるはず、と思ってしまったのに。それは只のリップサービスだった。
幸せって、なんなんだろう…
私の幸せは…
義隆さんが、寡黙でリアクションが少なくても、きちんと生活できる土台を作ってくれてたから、お金に困ることもなく生活出来て。隆行が元気で成長していくことだったんだ…そう出来てたのは、義隆さんが元気でしっかり働いてくれてたからなんだ、という当たり前のことに、失くして初めてきづいた…
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