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第22章 白河 桜子
看護師さんに、ウチに電話を掛けたいと相談すると、携帯か、公衆電話かと聞かれ、公衆電話を、というと、車椅子を準備してくれた。
車椅子で連れて来られたのは、病室からそう遠くない、談話室。室と言っても部屋というよりロビーのような感じ。ナースステーションに近くて、TVと給茶器があって、一面が窓で外の景色が見える、解放的な空間だった。
そこの隅に、電話ブースがあった。
実家の番号は、覚えていたけれど、ボタンをプッシュする指が震えた。

「白河でごさいます」

懐かしいお母さんの声を聞いた途端、涙が溢れて、何も言葉が出て来なくなった。

「もしもし?…桜子?桜子なの?」

「…お母さん…私…バカなことしちゃった…」

「もしもし? どういうこと?今どこ?外からなの?」

病院の名前と、入院してることを伝えると、すぐに行くから!と言って電話を切られた。

お母さんは数十分で来てくれた。
本当に飛び出してきたんだろう。家を出る時、もう顔も見たくないと言ったのに…病室のベッドで、お母さんの顔を見たら、また安心して涙が出てきた…
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